TPP恐怖のISD条項とはどんなものでしょう

TPP恐怖のISD条項とはなにか?

TPP恐怖のISD条項とはなにか?

TPPの中で、米国の業界団体が盛り込むように迫っているのが、参加各国政府を、外国企業が自由に訴えることができるようにする制度です。
この制度を可能にするのがISD条項です。
TPPにも盛り込むよう、アメリカは推進しています。

 

多くの自由貿易協定にISD条項が盛り込まれ、ISD条項を根拠とした訴訟が数多く起きています。
結果、政府が敗訴し、多額の損害賠償を支払うケースもあります。

 

そもそもISDとは何の略語でしょうか。
Investor(投資家) State(国家) Dispute Settlement(紛争解決)です。
主に自由貿易協定(FTA)を結んだ国同士において、多国間における企業と政府との賠償を求める紛争の方法を定めた条項です。

 

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このISD条項は、もっと噛み砕いて言ってしまえば、
「例え国が定めた制度だとしても、自由貿易を邪魔するならそれを外すように訴えられる」ということです。
企業が貿易や経済活動の邪魔という理由で各国政府を訴え、国が負けると制度廃止や損害賠償を求められます。

 

 

実際に訴訟になると、世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター(ICSID)が裁定にあたります。
この訴訟は裁定内容に不服があっても上訴することができません。
一審のみで決着します。

 

 

ISD条項による訴訟は、例えばメキシコの事例があります。
アメリカとメキシコとカナダはTPPのアメリカバージョンのNAFTAに参加しています。

 

 

アメリカ企業は産業廃棄場の建設をしたいが、メキシコ政府は環境保護のため、地元の自治体が建設の不許可を出しました。
この不許可がNAFTAに違反すると、アメリカ企業がISD条項を根拠に訴訟を起こしたんです。
結果、ICSIDは2000年、自治体側の主張を退け、メキシコ政府に1600万ドル(12億円)の賠償を命じました。

 

 

他にもまたアメリカの事例で恐縮ですが、アメリカの石油会社Ethyl がカナダ相手に有害物質MMT含有の石油を輸出しようとしたところ、カナダ政府が輸入禁止ました。
しかしMMTの有害性がまだ立証されていないと、Ethylはカナダ政府を訴えました。
結果、これも投資家を損させたと判断されたため、カナダ政府が敗訴。
有害物質を規制する法律の撤廃と1000万ドルの賠償の支払いをカナダ政府に命じました。

 

このような事例が2011年末時点で450件もあります。

 

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ちなみに日本はまだ一度も被告になったことはありません。
しかしTPPに加入し、ISD条項に縛られるようになれば、こういった訴訟に巻き込まれていく可能性が高いです。
そして、もし敗訴すれば、税金を使って損害賠償をしなくてはならなくなるのです。

 

特にアメリカは訴訟大国です。
実際にNAFTAではISDの訴訟のうち60%以上が米国企業が原告で、カナダとメキシコから多額の賠償金を得た事例も目立ちます。
ISD条項が恐怖の対象として捉えられる理由がないわけではありません。

 

もちろんISD条項を悪者にする意見には反論もあります。

ISD条項を根拠に企業が訴えたからといって、国際投資紛争解決センターが政府に不利なような判決ばかりを下すわけではない。
中立の立場から裁定を下す。
実際にISD条項による訴訟の勝敗は約50対50の割合である。

 

政府の横暴で、外国企業を潰すような真似をせず、普通にしてれば訴えられないし、訴えたとしても外国企業が敗訴する。
外国企業が悪質クレーマーのように政府に絡んでくるイメージは的外れで、むしろ逆には政府にひどい事をされた外国企業を守るのがISD条項の役割。
日本政府が今まで通り、日本企業と同じように外国企業を扱えば、何も起こらない。
逆に海外で日本政府が一方的に理不尽な扱いを受けないで済むというメリットを無視してはいけない。

という意見もあります。

 

 

「国の主権を損なうようなISDには合意しない」と安倍首相は心強いことを言っています。
であれば安心なのですが、アメリカ主導のTPPにおいて日本の主張がどこまで通るかはわかりません。
2015年来日したノーベル経済学者のジョセフ・E・スティグリッツ教授曰く
「ISD条項で日本国の主権が損なわれる」
これが本当なら怖いことですね。

 

ISD条項が盛り込まれたTPPに参加するということは、ノーリスクではないことを覚えておかなくてはいけません。

 

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