アメリカ抜きのTPPになった場合のデメリットとは

アメリカ抜きのTPPになった場合のデメリットとは

アメリカ抜きのTPPになった場合のデメリットとは

■TPPとは

トランプ大統領によるアメリカ脱退宣言から一気に注目を浴びるようになった「TPP」。「Trans-Pacific Partnership」の略称で、日本語では「環太平洋戦略的経済連携協定」と言いますが、これは元々シンガポール・ニュージーランド・ブルネイ・チリの4ヵ国で結んだ「パシフィック4(P4)」という規模の小さな経済協定に端を発します。ここにアメリカが参加、これによってオーストラリア、ペルー、メキシコ、マレーシア、ベトナム、カナダ、そして日本が次々と参加して合計12ヵ国の経済協定となり、名称もTPPと変更されました。

 

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TPPの目的は参加国の間において貿易を更に自由化することで、具体的には関税の撤廃、サービスや投資の自由化、知的財産や金融サービス、電子商取引などにおける新ルールの開設が実施されます。関税がなくなれば例えば日本の製品を海外で安く売ることができて消費者の範囲が広がりますし、逆に海外輸入品も日本で安く買うことができるようになります。また日本のサービス業も海外に進出しやすくなり海外ビジネスの幅が広がりますし、オンラインショッピングなども安心して行うことができたり、著作権保護により日本のアニメなどが守られたりします。これらの経済効果により、日本政府の試算によると、GDPが年間2700億円増加すると言われています。一方でデメリットも懸念されており、例えば安価な輸入品の流入によってデフレが起きる、海外の安い農作物の流入により日本の農業が大きなダメージを受ける、食品添加物や遺伝子組み換え食品などの緩和規制による食の安全が脅かされる、医療保険の自由化や混合診療により健康保険制度が圧迫されるといったことが挙げられています。

 

■アメリカのTPP脱退の理由

2009年にオバマ大統領によりアメリカがTPPに参加したものの、2017年1月に新大統領であるトランプ氏が今度はTPPからの脱退を実現させるべく大統領令に署名したのは冒頭で触れた通り。この大統領令によると、「アメリカはTPP交渉から永久に離脱する」と記されており、日本との交渉に関しては「二国間で貿易交渉を進めていく」との方針が表明されています。自分から参加したいと入って来たのに抜けたとはどういうこと?と思うかもしれませんが、そもそもトランプ大統領は選挙期間中から「TPP脱退」を唱えていましたから、大統領に就任した今、公約を実行したに過ぎないと言えます。

 

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これはTPP推進派だったオバマ元大統領に対する対立という意味もあったと思われますが、それ以上に実際TPPはアメリカにとって何の得にもならないというトランプ氏の元企業家としての観点が理由になっていると考えられます。実際、TPPにより国外企業が自由に自国に入り込んだり自国の企業がどんどん国外に出て行けば、自国民の職の確保が脅かされ労働者環境が悪化してしまいます。このようなグローバル化が原因で地域に経済格差が出てしまうことはトランプ氏の最も嫌うところで、加えて「アメリカ第一主義」「アメリカ保護主義」が基本姿勢のトランプ氏としては、貿易の自由化を図る計画など「目の上の瘤」なのです。トランプ大統領にとってみれば1994年に発効した北米自由貿易協定さえ不本意なもので「米国が調印した各協定の中でも最低の貿易協定」と呼んだほどなのですが、現実として既にアメリカではメキシコ産やカナダ産のものが多く流通しているため、今更ここから脱退するわけにはいきません。そこでもっと「切りやすい」貿易協定はと考えた時、浮上したのがTPPと言うわけなのです。

 

■アメリカ抜きのTPPによるデメリット

前述の通り日本を含めアメリカが加わったためにそのメリットに目を付けて参入してきた国にとっては、アメリカが脱退してしまったならもはや「TPPに用はない」わけですが、それ以上にそもそもTPPの発効そのものが難しくなってきました。と言うのも、TPPを発効するためには加盟12ヵ国のGDPの85%を占める6ヵ国以上が国内手続きをする必要があるからで、アメリカのGDPは全体の60%を占めるため、アメリカ抜きでは発効しようがないわけです。このためアメリカ抜きで新たにTPPを結び直そうとの考えが起こっています。そもそも最初はアメリカ抜きのパシフィック4だったのですから、もうアメリカにこだわらなくてもいいじゃないか、というわけですね。そうなると各国は個別にアメリカと交渉することになるわけで、これまで「アメリカの属国」とまで言われてきた日本が対等に交渉しリーダーシップを発揮していけるかどうか、疑わしい面があります。そのうえ日本をライバル視する中国や韓国の妨害も予期しておく必要があるでしょう。日米二国間の貿易協定も、既にオバマ氏の頃から見られていた「日本との距離を置く」政策に拍車がかかっている今、TPPより有利な内容になるとは期待できないでしょう。

 

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